サルビアの育てかた
◆
家族の墓参りに行く時だけは、こんな変な空気を醸し出したままで行きたくない。
叔父を真ん中に、俺たち三人は霊園の中を歩んでいく。
家を出てからレイはずっと『サルビア』を大切に抱えている。それを見て俺は、思い切って彼女に話しかけてみることにしたんだ。
「なあ、レイ。その花って、あの時の……一輪だけ残ってた『サルビア』か?」
するとレイは首を小さく横に振る。
「この前の『サルビア』はもう枯れちゃったよ」
「えっ」
「でもね、種が採れたの。それで新しく育てた花なんだよ。……バルコニーに別の『サルビア』もいくつか花を咲かせたんだけど、ヒルスはまだ見てない?」
「……ごめん、見てない」
「そう」
どことなく暗い声でレイはそれきり何も言わなくなってしまう。
(やってしまった)
心の中で俺が嘆くと、隣で歩いていた叔父が(墓穴掘りやがったな)と言わんばかりの顔で俺を睨むんだ。
更に気まずい雰囲気になってしまう。こんな自分の発言にぶん殴りたくなるほど後悔した。
それでも間に立つ叔父が、他愛ない話で何とかその場を乗り切ってくれる。この時叔父がいなければ、本当に俺たちはどうなっていたんだろう。考えただけで身震いする。
永遠とも思われるほどの距離だった。やっとの思いで目的地へ辿り着くと、この微妙な息苦しさから解放される。
──父と母の墓の前で、俺たちは足を止めた。
二人の墓は、リミィの隣に建てた。手配してくれたのはほぼ叔父なのだが。
二人の墓は、寄り添うように立ち並んでいて──父と母の名が刻まれた墓石を見ると、ああ、本当にリミィの所へいってしまったんだな、と改めて思い知らされる。
家族の墓参りに行く時だけは、こんな変な空気を醸し出したままで行きたくない。
叔父を真ん中に、俺たち三人は霊園の中を歩んでいく。
家を出てからレイはずっと『サルビア』を大切に抱えている。それを見て俺は、思い切って彼女に話しかけてみることにしたんだ。
「なあ、レイ。その花って、あの時の……一輪だけ残ってた『サルビア』か?」
するとレイは首を小さく横に振る。
「この前の『サルビア』はもう枯れちゃったよ」
「えっ」
「でもね、種が採れたの。それで新しく育てた花なんだよ。……バルコニーに別の『サルビア』もいくつか花を咲かせたんだけど、ヒルスはまだ見てない?」
「……ごめん、見てない」
「そう」
どことなく暗い声でレイはそれきり何も言わなくなってしまう。
(やってしまった)
心の中で俺が嘆くと、隣で歩いていた叔父が(墓穴掘りやがったな)と言わんばかりの顔で俺を睨むんだ。
更に気まずい雰囲気になってしまう。こんな自分の発言にぶん殴りたくなるほど後悔した。
それでも間に立つ叔父が、他愛ない話で何とかその場を乗り切ってくれる。この時叔父がいなければ、本当に俺たちはどうなっていたんだろう。考えただけで身震いする。
永遠とも思われるほどの距離だった。やっとの思いで目的地へ辿り着くと、この微妙な息苦しさから解放される。
──父と母の墓の前で、俺たちは足を止めた。
二人の墓は、リミィの隣に建てた。手配してくれたのはほぼ叔父なのだが。
二人の墓は、寄り添うように立ち並んでいて──父と母の名が刻まれた墓石を見ると、ああ、本当にリミィの所へいってしまったんだな、と改めて思い知らされる。