サルビアの育てかた
 俺のレイに対する気持ちは変わらない。むしろ日を追うごとに大きくなるばかりだ。
 だけど欲心に負けるばかりの俺じゃない。本当にもう大丈夫。
 あくまでレイの兄なんだということを忘れずに、日々を過ごしていった。

 ──だけど、ひとつだけ。気がかりなことがあったんだ。

「レイさん! おはようございます」

 いつもダンススタジオに朝早くから来て自主練習をしているロイは、キラキラ輝く笑顔でレイに挨拶をしていた。

 ジャスティン先生と今日の打ち合わせをしていた俺は、遠目でちらちらと二人の様子を目で追ってしまう。

「おはよう、ロイ。今日も早いね」
「今度イベントがありますから。気合い入れていかないと」
「そうだね。ロイ、今度のイベントでソロ踊るもんね」
「ソロももちろん頑張りますが、観に来てくれた人たちにもっといい踊りを見せたくて」
「ロイのそういう考え、私好きだなぁ。でも無理しすぎないでね」
「はい。ありがとうございます」

 そのような会話が俺の耳に入ってくる。なんだか二人は楽しそうだ。
 レイが俺以外の人とあんなに楽しそうに、可愛い笑顔を向けて話しているなんて。
 いや、レイは元々誰にでも愛想よくする子だ。何もロイだけではない。先生にもスタジオの仲間にも友人たちにも、もちろんこの俺にも。
 そんなの分かってる。俺は何を気にしているのか。なぜか二人の様子を見てモヤモヤしてしまう自分がいる。
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