サルビアの育てかた
「このことを知っているのは、ヒルス先生とレイさんだけです」
「えっ、レイにも話したのか?」
「はい、この前休日にランチへ行ったんですよ。レイさんは、とても優しくてボクの気持もよく理解してくれるようです」
そういうロイの話し声はとても柔らかい。
──いや、ちょっと待てよ。この前の休日にランチに行った? もしかして、飲み会の翌日俺とレイが変な雰囲気になっていたあの時か。
なんとも言えない複雑な感情が、俺の心の中をかき乱す。
だが、今はそんなことを気にしている場合ではない。それよりも、ロイの身の上の事情が衝撃で。
「それは、知らなかったな。悪いな、あまり話したくないだろう」
「そんなことないですよ。他の人たちにはあえて自分から話したりしませんけど。同情とかされたくないので。ボクは自分が不幸だなんて思っていませんから。ヒルス先生がダンスの楽しさを教えて下さり、毎日が楽しいですし。優しいシスターのおかげでこうしてダンススタジオにも通うことができますし」
ロイの様子は普段と何ひとつ変わらない。平然としていて、俺が圧倒されてしまうほどだ。
「だからヒルス先生、これからも熱いご指導お願いします」
礼儀正しく頭を下げるロイは、何とも不思議なオーラを放っていた。
レイが過去に過ごしていた孤児院で、今もロイは暮らしているだなんて。普段の彼の様子からは全くそんなことを感じさせないほど、ロイの振る舞いは明るかった。
レイは自分が元孤児であるということはまだ知らないが、昔の自分と同じ境遇でいるロイを、心のどこかで気づかないうちに意識しているのかもしれない。
だから俺は、二人が自然と仲良くなったのも理解するつもりだ。俺を心から慕ってくれるロイのことを、これからもインストラクターとして見守っていこうと心に決めていた。
「えっ、レイにも話したのか?」
「はい、この前休日にランチへ行ったんですよ。レイさんは、とても優しくてボクの気持もよく理解してくれるようです」
そういうロイの話し声はとても柔らかい。
──いや、ちょっと待てよ。この前の休日にランチに行った? もしかして、飲み会の翌日俺とレイが変な雰囲気になっていたあの時か。
なんとも言えない複雑な感情が、俺の心の中をかき乱す。
だが、今はそんなことを気にしている場合ではない。それよりも、ロイの身の上の事情が衝撃で。
「それは、知らなかったな。悪いな、あまり話したくないだろう」
「そんなことないですよ。他の人たちにはあえて自分から話したりしませんけど。同情とかされたくないので。ボクは自分が不幸だなんて思っていませんから。ヒルス先生がダンスの楽しさを教えて下さり、毎日が楽しいですし。優しいシスターのおかげでこうしてダンススタジオにも通うことができますし」
ロイの様子は普段と何ひとつ変わらない。平然としていて、俺が圧倒されてしまうほどだ。
「だからヒルス先生、これからも熱いご指導お願いします」
礼儀正しく頭を下げるロイは、何とも不思議なオーラを放っていた。
レイが過去に過ごしていた孤児院で、今もロイは暮らしているだなんて。普段の彼の様子からは全くそんなことを感じさせないほど、ロイの振る舞いは明るかった。
レイは自分が元孤児であるということはまだ知らないが、昔の自分と同じ境遇でいるロイを、心のどこかで気づかないうちに意識しているのかもしれない。
だから俺は、二人が自然と仲良くなったのも理解するつもりだ。俺を心から慕ってくれるロイのことを、これからもインストラクターとして見守っていこうと心に決めていた。