サルビアの育てかた
空港の滑走路で何機もの飛行機たちが、慌ただしい様子で空へ飛び立つ準備をしている。
多くの人びとが行き交うターミナルの中、キャリーケースを転がす叔父のジェイクは、旅立ち前のひとときを俺とレイに見送られながら過ごしていた。
きっちりスーツを身にまとった叔父を見上げ、レイはどことなく暗い声になる。
「ジェイク叔父さん、またしばらく帰ってこないんだよね」
「仕事も繁忙期になるからな。なんだ、レイ。オレがいなくなると寂しいのか?」
「当たり前だよ。せっかく十年ぶりに会えたのに、次はいつ会えるかわからないでしょう?」
「まぁ、冠婚葬祭の時には必ず戻る。何かあれば連絡しろよ」
叔父は真面目な口調になった。
「そう言えば、残された土地は──どうするか決めたのか?」
叔父の問いに、俺とレイは目を合わせる。すぐに叔父の方に顔を向け、ほぼ同時に首を横に振った。
「まだ答えが出ないんだ。火事があったあの場所に家を建てたとしても、そこで暮らすのは精神的にキツい気がして」
「私もヒルスと同じ気持ち。どうしていいのか、まだ迷っているの」
俺たち二人の答えに、叔父は小さく息を吐く。
「真剣に悩んでいるからこそ、簡単に結論は出ないよな。焦ることはないが、雑草も増え始めて処理が大変になるから、早めにどうするか決めておけよ」
叔父は保安検査場を振り向き、腕時計を確認してからもう一度俺たちと目を合わせる。
「そういえばこの前、ジャスティンと飲んだ時に言っていたな……」
「何を?」
「今、経営するダンススクールの生徒数が急激に増加しているらしく、今の敷地では狭すぎるそうなんだ。もっと大きい場所があれば、新しいスクールを建てたいと話していたんだよ」
「そうなのか」
俺とレイはもう一度、互いに顔を見合わせた。
「あの先生はダンサーとしてだけじゃなく、経営者としても成功しているからな。ビジネスの話が出来て楽しかった」
叔父はふっと優しい笑みを浮かべる。
「ま、何度も言うが最終的にどうするか決めるのはお前たち二人だ。今の話は参考程度に聞き流しておけ」
「うん」
「だが、何年も放置することだけはやめろよ」
「分かってる」
多くの人びとが行き交うターミナルの中、キャリーケースを転がす叔父のジェイクは、旅立ち前のひとときを俺とレイに見送られながら過ごしていた。
きっちりスーツを身にまとった叔父を見上げ、レイはどことなく暗い声になる。
「ジェイク叔父さん、またしばらく帰ってこないんだよね」
「仕事も繁忙期になるからな。なんだ、レイ。オレがいなくなると寂しいのか?」
「当たり前だよ。せっかく十年ぶりに会えたのに、次はいつ会えるかわからないでしょう?」
「まぁ、冠婚葬祭の時には必ず戻る。何かあれば連絡しろよ」
叔父は真面目な口調になった。
「そう言えば、残された土地は──どうするか決めたのか?」
叔父の問いに、俺とレイは目を合わせる。すぐに叔父の方に顔を向け、ほぼ同時に首を横に振った。
「まだ答えが出ないんだ。火事があったあの場所に家を建てたとしても、そこで暮らすのは精神的にキツい気がして」
「私もヒルスと同じ気持ち。どうしていいのか、まだ迷っているの」
俺たち二人の答えに、叔父は小さく息を吐く。
「真剣に悩んでいるからこそ、簡単に結論は出ないよな。焦ることはないが、雑草も増え始めて処理が大変になるから、早めにどうするか決めておけよ」
叔父は保安検査場を振り向き、腕時計を確認してからもう一度俺たちと目を合わせる。
「そういえばこの前、ジャスティンと飲んだ時に言っていたな……」
「何を?」
「今、経営するダンススクールの生徒数が急激に増加しているらしく、今の敷地では狭すぎるそうなんだ。もっと大きい場所があれば、新しいスクールを建てたいと話していたんだよ」
「そうなのか」
俺とレイはもう一度、互いに顔を見合わせた。
「あの先生はダンサーとしてだけじゃなく、経営者としても成功しているからな。ビジネスの話が出来て楽しかった」
叔父はふっと優しい笑みを浮かべる。
「ま、何度も言うが最終的にどうするか決めるのはお前たち二人だ。今の話は参考程度に聞き流しておけ」
「うん」
「だが、何年も放置することだけはやめろよ」
「分かってる」