サルビアの育てかた
 俺とレイが大きく頷くと、叔父は再び時計を気にする。

「そろそろ時間だ。行くよ」
「ジェイク叔父さん、たまには連絡しようね」
「そうだな。レイ、体に気をつけろよ」

 叔父はレイのことをそっと撫でた。優しさが溢れたそんな叔父の行為に、俺は微笑ましく思う。

 それから叔父は、急に俺の方に顔を近づけそっと耳打ちしてくるんだ。

「結婚する時は必ず呼べよ」
「え……?」

 とんでもない叔父の発言に、俺の顔はカッと熱くなる。ニヤニヤする叔父に対して俺は大袈裟に首を横に振った。

「ジェイク叔父さん。何言うんだよ。おかしいのか、俺とレイが、そんな……!」

 次の言葉を口に出せずに俺が狼狽えると、叔父は腹を抱えて涙目になる。

「なんだ、ヒルス。本当に可愛い奴だなあ。オレは一言も、お前とレイのことだなんて言っていないぞ!」

 俺は更に顔を赤く染めた。火が吹き出そうなほど恥ずかしい。もう、何も言いたくない。

「えっ。なになに。私とヒルスがどうしたの?」

 たくさん疑問符を浮かべるレイは、俺と叔父を交互に見ながら訊いてくる。
 レイに対して、俺は言葉を返すことが出来なかった。
 穴があったら今すぐにでも入りたい状態である俺を横目に、叔父は上機嫌でレイに話すんだ。

「気にするな、レイ。きっと数年後には分かるさ」
「何それ?」
「オレはもう行かなきゃいけないから。ヒルス、レイ。元気でな」
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