サルビアの育てかた
背を向け、検査場に行こうとする叔父を見て、俺は慌てて止めに入る。
「叔父さんちょっと待って」
「どうした」
「これ、受け取ってくれないかな」
叔父はこちらを振り返り、俺が差し出した数十枚の五十ポンド札が入った包み紙を見る。
「……何だ?」
訳が分からない、と言った様子で叔父は首を傾げた。
「お礼だよ。ごめん、こういう時に何を渡せばいいのか全然分からなくて」
「……お前、変なこと考えるな。どういうつもりだよ。いらねえ、そんなの」
「叔父さんがいてくれて本当に救われたんだ。ここまで事務的なことも色々手伝ってくれたし、迷惑だってたくさん掛けた。精神的にも叔父さんがいてくれて本当に助かったんだよ。だから、これ」
礼にこんなものを渡すなんて普通じゃないし、失礼かもしれない。それでも俺は、叔父に感謝の意を表す為に受け取ってほしいと願った。
だけど、一向に受け取ってくれる様子はない。むしろ呆れたような顔をしてそっと俺の手を振りほどき、叔父は瞳を真っ直ぐこちらに向けて言うんだ。
「金を渡そうとするなんて驚いたな。オレは親戚の一人として、お前たちを手伝っただけだ。これからお前たちは二人で生きていくんだぞ。甘えられる親はもういないんだからな。この金は何かあった時の為に取っておけ」
「……ジェイク叔父さん」
「礼なんていらない。ヒルスとレイが元気に過ごしてくれればそれで良いから」
叔父は優しい笑みを浮かべて小さく頷く。
「だからもう、つまらないことで喧嘩なんてするなよ。分かったなヒルス、レイ」
「うん……」
「……分かってる」
結局、最後まで包み紙を受け取ることはなく、叔父は背を向け、手を振りながら検査場へと立ち去っていった。
――その時の叔父の後ろ姿は微かに震えていて。どこか寂しさが溢れているような気がしたんだ。
「叔父さんちょっと待って」
「どうした」
「これ、受け取ってくれないかな」
叔父はこちらを振り返り、俺が差し出した数十枚の五十ポンド札が入った包み紙を見る。
「……何だ?」
訳が分からない、と言った様子で叔父は首を傾げた。
「お礼だよ。ごめん、こういう時に何を渡せばいいのか全然分からなくて」
「……お前、変なこと考えるな。どういうつもりだよ。いらねえ、そんなの」
「叔父さんがいてくれて本当に救われたんだ。ここまで事務的なことも色々手伝ってくれたし、迷惑だってたくさん掛けた。精神的にも叔父さんがいてくれて本当に助かったんだよ。だから、これ」
礼にこんなものを渡すなんて普通じゃないし、失礼かもしれない。それでも俺は、叔父に感謝の意を表す為に受け取ってほしいと願った。
だけど、一向に受け取ってくれる様子はない。むしろ呆れたような顔をしてそっと俺の手を振りほどき、叔父は瞳を真っ直ぐこちらに向けて言うんだ。
「金を渡そうとするなんて驚いたな。オレは親戚の一人として、お前たちを手伝っただけだ。これからお前たちは二人で生きていくんだぞ。甘えられる親はもういないんだからな。この金は何かあった時の為に取っておけ」
「……ジェイク叔父さん」
「礼なんていらない。ヒルスとレイが元気に過ごしてくれればそれで良いから」
叔父は優しい笑みを浮かべて小さく頷く。
「だからもう、つまらないことで喧嘩なんてするなよ。分かったなヒルス、レイ」
「うん……」
「……分かってる」
結局、最後まで包み紙を受け取ることはなく、叔父は背を向け、手を振りながら検査場へと立ち去っていった。
――その時の叔父の後ろ姿は微かに震えていて。どこか寂しさが溢れているような気がしたんだ。