サルビアの育てかた
「叔父さん、行っちゃったね」
「そうだな……」

 ざわざわと人と人の話し声が響くターミナルの真ん中で、俺とレイはしばらく検査場を見つめたまま立ち尽くしていた。何とも言えない切ない気分になる。

 叔父の言う通り。この先、俺たちは二人で生きていかなければならない。生活の面で決して贅沢は出来ないが、レイを養うことならきっと何とかやっていける。
 だけど、気持ちの面ではどうだろう。両親を失った悲しみを、時折思い出してしまうこともあるはずだ。現実を受け止めたとしても、未だに悲しい気持ちが残っているのだから。

 俺が不安に思っている隣で、レイはこちらを見上げて言うんだ。

「ねえ、ヒルス」
「うん?」
「せっかくだから、この後どこか寄ろうよ」
「ああ、そうだな」

 俺が頷くと、レイは嬉しそうに笑ってくれる。

 ──そうだ。俺はこの前、心に決めたばかりじゃないか。レイのこの愛くるしい笑顔を守るんだと。
 彼女と二人なら大丈夫。きっと楽しい未来が待っているから。
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