サルビアの育てかた
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「見て、ヒルス!」
興奮気味にレイが指差す先には、果てしなく広がる大きな池があった。そよ風がまるで波を描くように、水面を揺らしている。
空港の近くに広大な森林公園があったので、俺とレイはのんびり散歩をしていた。
「ほら、魚がたくさん泳いでる! 今日は天気もいいし、水がキラキラ光ってるよ。綺麗だね」
「ああ、本当に。綺麗だな……」
はしゃぐレイの姿を眺めながら、俺は彼女に向かって静かにそう呟いた。
──俺とレイが兄妹という関係じゃなかったら、きっとこれはデートと言えるんだろうな。周りから見ても、仲の良いカップルに見えるのかな。
もし俺たちが違う形で出会っていたら? 最初から兄妹という関係でなかったら?
こんな考え、してはいけないはずなのに。彼女との幸せな時間を過ごしてしまうと、この関係に苦しめられる。
『正直、彼女の優しさに惹かれています』
たちまちあの時のロイの言葉を思い出してしまう。
レイの魅力に惹かれているのは俺だけではない。たくさんいたって、おかしくないはずだ。
俺がもしロイのような立場でいたら、レイと気兼ねなくデートでも何でも出来たかもしれないのに。
「ヒルス」
「……え?」
「どうしたの? ボーッとしてるよ」
「ごめん……なんでもない」
その答えに、レイは納得しないように頬を少し膨らませるんだ。
「嘘言わないで。約束、忘れたの?」
「……いや」
別に悩んでいるわけじゃないんだ。これはただの俺の欲求で、わがままを考えているだけ。