サルビアの育てかた
──その後、俺たちは森を散歩し、ランチは少し洒落たレストランで食事を取った。午後もショッピングなどを楽しんでいると、時間はあっという間に過ぎ去ってしまう。
帰る時間になると、辺りはすっかり陽が沈んでいた。
「楽しい時間ってどうしてあっという間に終わっちゃうんだろうね?」
「ああ……そうだな。人生の永遠のテーマ、なのかもな」
「えっ? ヒルスがそんなこと言うの珍しいね」
俺が車を運転する横で、レイは少し驚いたように言うんだ。
普段俺は難しいことを考えたりない。こんな哲学っぽい台詞も、ただの照れ隠しで口に出しただけだ。
レイに楽しい時間があっという間だなんて言われたら、嬉しくて仕方がないんだよ。
密かに顔を赤らめながら、俺はアクセルを踏み続ける。
家が近づいてきた頃、ふと馴染みのある店の前を通った。
そうだ。買いたいものがあるんだ。
唐突に思い出し、俺は一度その店の前に車を停車させた。
オレンジのライトに照らされる『シャルル』の看板。
「ヒルス、寄っていくの?」
「ああ。二度もレイとケーキを食べ損ねているだろ? 今日こそは一緒に食べようと思ってな」
一度目は実家を失ってしまったあの日に。その次は俺は孤独なんだと勘違いして一人で勝手にひねくれていた日に。
ここ数カ月、色んなことがありすぎた。やっと落ち着いてきた今、改めてレイの好きなケーキを一緒に食べたい。
帰る時間になると、辺りはすっかり陽が沈んでいた。
「楽しい時間ってどうしてあっという間に終わっちゃうんだろうね?」
「ああ……そうだな。人生の永遠のテーマ、なのかもな」
「えっ? ヒルスがそんなこと言うの珍しいね」
俺が車を運転する横で、レイは少し驚いたように言うんだ。
普段俺は難しいことを考えたりない。こんな哲学っぽい台詞も、ただの照れ隠しで口に出しただけだ。
レイに楽しい時間があっという間だなんて言われたら、嬉しくて仕方がないんだよ。
密かに顔を赤らめながら、俺はアクセルを踏み続ける。
家が近づいてきた頃、ふと馴染みのある店の前を通った。
そうだ。買いたいものがあるんだ。
唐突に思い出し、俺は一度その店の前に車を停車させた。
オレンジのライトに照らされる『シャルル』の看板。
「ヒルス、寄っていくの?」
「ああ。二度もレイとケーキを食べ損ねているだろ? 今日こそは一緒に食べようと思ってな」
一度目は実家を失ってしまったあの日に。その次は俺は孤独なんだと勘違いして一人で勝手にひねくれていた日に。
ここ数カ月、色んなことがありすぎた。やっと落ち着いてきた今、改めてレイの好きなケーキを一緒に食べたい。