サルビアの育てかた
 ──今朝スタジオへ出勤した時、ジャスティン先生からある発表がされた。

「次のイベントで急遽、もう一曲追加でダンスを披露することになってね。せっかくだから、直近の大会で好成績を残してくれたレイとロイにペアで踊ってもらおうと思うんだ。二人ともいいかな」

 指名されたレイたちは、互いに顔を向き合わせ二つ返事で快諾していた。
 しかも先生の指示で、俺が二人の指導に入ることに。
 ジャスティン先生に言われてしまっては、もちろん断るわけにはいかないし、仕事と私情は関係ない。やるからには俺は本気で二人のペアダンスの指導に入ろうと思った。
 レイは簡単なアクロバティックな動きなら習得しているし、ロイも高度な技が使える。ヒップホップダンスの中に、それぞれのソロでアクロバット技を盛り込むことにした。

 レイとロイはさすがダンサーとしての素質がある。振り付けを決めた後に、軽く流しながら踊らせてみたが、驚くほど二人の呼吸が合っていたんだ。
 同じムーヴで踊る時はもちろん、向かい合って別々の振り付けでダンスをする時も、お互いがお互いの目を離さずにブレスを合わせ、テンポもしっかりと刻んでいた。一回目であるのに、こうも息が合うものかと驚くほど。

 これは本番も期待出来る──と思う反面、あまりにも二人のダンスが決まっていて、俺の中には要らぬ嫉妬心が溢れ出てしまう。
< 456 / 847 >

この作品をシェア

pagetop