サルビアの育てかた
 しばらく車を停めているだけで外に出るわけでもなく、俺はぼんやりしていた。

 すると突然、建物の玄関のドアがゆっくりと開くのが目に入る。中からそっと顔を覗かせていたのは──修道服を纏ったシスターだったんだ。
 シスターはこちらの様子を覗うように目線を俺に向け、すぐにあの優しい微笑みを浮かべてくれた。

「シスター……」

 柔らかいオーラを放つシスターの姿を見ると、俺はなんとも言えない安堵感に包まれる。
 傘を差しながらこちらに近づいてくるシスターは、ゆったりとした口調で俺に言うんだ。

「知らない車が停まっていると思ったら、あなたでしたか。よく来ましたね、ヒルス。どうぞ入って」

 当たり前のように歓迎してくれるシスターの対応に、俺の胸はあたたかくなった。

 
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