サルビアの育てかた
「……ロイは何年も前からここに住んでいる子ですね。彼が通うスタジオに、あなたがいることも知っていました。今までヒルスには何もお伝えしてませんでしたね。ごめんなさい」

 なぜか頭を下げるシスターを見て、俺は大きく首を横に振る。か細いシスターの肩に手をそっと置き、俺は出来るだけ明るい声で答える。

「謝る必要なんてないですよ。ロイが教えてくれたんです。優しいシスターのおかけで、スタジオに通うことが出来ているんだと。彼は、シスターをとても信頼しているみたいですね」

 そんな俺の言葉に、シスターはゆっくりと顔を上げた。

「あの子とはもう、長い間一緒に時を過ごしてきました。信頼というよりも、彼には甘えられる相手がわたしくらいしかいません……。こうなったのはわたしのせいです」
「どういうことですか」

 シスターは神妙な面持ちで俺の顔をじっと見つめる。

「あの子は四歳の時に、実の親と絶縁関係になりました。と言っても、わたしが強制的にロイを孤児院に連れてきたのですが」
「……えっ?」

 これからシスターから聞かされる話は、今のロイの様子からは想像がつかないほど驚愕するような内容だったんだ──
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