サルビアの育てかた
近くの公園にロイを連れて行き、ベンチに座らせてパンを手渡すと、彼はものすごい勢いで食らいついていた。
ロイがパンを完食した後、シスターは彼に目線を合わせ、優しい声で話しかける。
「どうしてあなたは、ものを盗もうとするの?」
「……」
顔を逸らし、何も話さないロイの目はどこか怯えているようにも見えた。
「今日もお母さんはいないの?」
「……わからない」
「どうして分からないの?」
「……おかあさんは、いつもしらないおとこのひとといっしょに、どこかへいっちゃうから」
寂しさに染められたロイの瞳の色を、シスターは今でも忘れられないでいる。
その日ロイを彼の家に送ったが、部屋の状況を見てシスターは驚愕させられた。家の中は荒れ放題で大量のゴミが放置されており、部屋中が不衛生な状態。冷蔵庫の中もほぼ空っぽの状態で、そんな場所でロイが一人ぼっちで過ごしているなど信じられなかった。
このような家にロイを置いてはいけないと判断したシスターは、その日孤児院に彼を連れて帰ることにしたのだ。その時のロイの様子は、どことなく安堵したような、緊張が解れたような、少しだけ表情が柔らかくなっていた。
ロイがパンを完食した後、シスターは彼に目線を合わせ、優しい声で話しかける。
「どうしてあなたは、ものを盗もうとするの?」
「……」
顔を逸らし、何も話さないロイの目はどこか怯えているようにも見えた。
「今日もお母さんはいないの?」
「……わからない」
「どうして分からないの?」
「……おかあさんは、いつもしらないおとこのひとといっしょに、どこかへいっちゃうから」
寂しさに染められたロイの瞳の色を、シスターは今でも忘れられないでいる。
その日ロイを彼の家に送ったが、部屋の状況を見てシスターは驚愕させられた。家の中は荒れ放題で大量のゴミが放置されており、部屋中が不衛生な状態。冷蔵庫の中もほぼ空っぽの状態で、そんな場所でロイが一人ぼっちで過ごしているなど信じられなかった。
このような家にロイを置いてはいけないと判断したシスターは、その日孤児院に彼を連れて帰ることにしたのだ。その時のロイの様子は、どことなく安堵したような、緊張が解れたような、少しだけ表情が柔らかくなっていた。