サルビアの育てかた
◆
ロイの過去について語っていたシスターの表情は暗かった。
今の話を聞き、俺はロイが二度も親に捨てられた、と言っていたのを思い出す。どうしようもなく胸が締め付けられてしまう。
ロイにとっては自分が必要とされていないと感じてしまった時点で、親に捨てられたも同然だろう。
「里親の選定をしたのはわたしです。あの夫婦にロイを渡してしまったことで、あの子は更に傷ついてしまった。ロイが親の愛というものを求めなくなってしまったのは、全てわたしのせいです」
しんみりと語るシスターを前に、俺は眉をひそめる。シスターには自分を責めてほしくない。
俺はゆっくり首を横に振った。
「シスターのせいじゃないですよ。悪いのはロイを傷つけた親なんですから。……親、と言えるのかも疑問ですけど」
シスターに向かって、俺は微笑みを向ける。
「ロイはとても礼儀正しくて、レッスンも真面目に取り組んでくれるし、とにかく良い子なんですよ。初めて彼に会った時は、ずいぶん育ちがいい子が来たな、と思ったほどです。ロイの人間性は、シスターのおかげだったんですね」
お世辞なんかじゃなく、正直な俺の気持ちだった。
これを聞いたシスターは、ふと笑みをこぼす。
「わたしのおかげか分かりませんが。わたしはあくまでロイを保護した身です。孤児院には他にも親がいない子供たちがいますから、あの子だけを特別扱いするわけにはいきません。どんな事情があろうとも、わたしが親代わりになることは出来ないのです」
「それでも、ロイはいつも楽しそうに笑っています。優しいシスターがスタジオに通わせてくれているから、ロイは大好きなダンスを続けられます。まるで悩みなんてものが何もないように」
ロイの過去について語っていたシスターの表情は暗かった。
今の話を聞き、俺はロイが二度も親に捨てられた、と言っていたのを思い出す。どうしようもなく胸が締め付けられてしまう。
ロイにとっては自分が必要とされていないと感じてしまった時点で、親に捨てられたも同然だろう。
「里親の選定をしたのはわたしです。あの夫婦にロイを渡してしまったことで、あの子は更に傷ついてしまった。ロイが親の愛というものを求めなくなってしまったのは、全てわたしのせいです」
しんみりと語るシスターを前に、俺は眉をひそめる。シスターには自分を責めてほしくない。
俺はゆっくり首を横に振った。
「シスターのせいじゃないですよ。悪いのはロイを傷つけた親なんですから。……親、と言えるのかも疑問ですけど」
シスターに向かって、俺は微笑みを向ける。
「ロイはとても礼儀正しくて、レッスンも真面目に取り組んでくれるし、とにかく良い子なんですよ。初めて彼に会った時は、ずいぶん育ちがいい子が来たな、と思ったほどです。ロイの人間性は、シスターのおかげだったんですね」
お世辞なんかじゃなく、正直な俺の気持ちだった。
これを聞いたシスターは、ふと笑みをこぼす。
「わたしのおかげか分かりませんが。わたしはあくまでロイを保護した身です。孤児院には他にも親がいない子供たちがいますから、あの子だけを特別扱いするわけにはいきません。どんな事情があろうとも、わたしが親代わりになることは出来ないのです」
「それでも、ロイはいつも楽しそうに笑っています。優しいシスターがスタジオに通わせてくれているから、ロイは大好きなダンスを続けられます。まるで悩みなんてものが何もないように」