サルビアの育てかた
 その後孤児院を後にし、帰宅するとすでにレイが俺の部屋で待っていた。
 黄色いエプロン姿のは、相変わらずの愛らしい笑みを向けてくれる。

「おかえり、ヒルス。私の方が早かったね」
「ああ、ちょっと用事があってな」

 夕飯のいい香りが玄関まで漂ってくる。練習後で疲れているはずなのに、レイは当たり前のようにご飯を作りに来てくれる。そんな彼女のことがたまらなく愛おしい。

「いい匂いがする」
「ミートパイ作っておいたよ。一緒に食べよ」

 なんでもない会話すら、俺にとっては貴重なものなんだ。
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