サルビアの育てかた
「……レイ、ありがとう」
「えっ?」
「いつもレイのご飯は美味しいから……。後片付けは俺がするよ」
「ん? ヒルス、急にどうしたの?」

 少し驚いたような表情を浮かべながら、レイは俺の顔をじっと覗き込んだ。

 今はレイの笑顔に癒やされたい。余計なことを考えるのはやめだ。

 何も言うことなく、俺はすっとレイの頭を優しく撫でる。この行為に特に深い意味はない。ただ、いつものように愛しい彼女の髪に触れたくなっただけ。

 レイは更に戸惑ったように俺から目を逸らす。

「……やっぱり。ヒルス、なんか変」
「変じゃないよ。普段通りだよ」

 妹のことを撫でるのが「普段通り」──自分で言っておいて、違和感が過ぎる。俺のこんな行動をすんなり受け入れるレイも、実は変なんだよ。
 そう考えると俺はおかしくなって、思わず含み笑いをする。
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