サルビアの育てかた
目線を俺の方から離し、レイは話題を逸らすかのようにある店の方を指差した。
「あっ。あのお店、可愛い」
彼女の目線の先には、素朴でありながら小綺麗に店内を装飾しているジュエリーショップがあった。
(そういえばレイはプレゼントはケーキだけでいいと言っていたけど……)
じっとショップの方を眺めるレイを、俺は店内まで引き連れて行った。
「レイ、好きなもの選んで」
「買ってくれるの?」
「今日誕生日だから」
「でもケーキだけでいいのに」
「俺がレイにプレゼントしてあげたいんだ」
何となく小恥ずかしくなった俺は、少しだけ目線をレイから逸らす。するとその先にジュエリーショップの女性店員が立っていて、ばっちり俺と目が合った。
店員は営業スマイルを俺に向けると、こちらにゆっくりと歩んできた。
「優しい彼氏さん、ですね」
「えっ?」
なんの疑いもなしに店員が言い放った言葉に、俺は一瞬戸惑ってしまう。
「彼女さん想いで素敵ですよ」
──いえ、俺たちはそういう関係ではないんです。少しばかり色々と複雑な事情がある、ごく普通の義理の兄妹なんです。
俺は頭の中でつらつらと説明文を並べるが、変な緊張のせいで一言も声に出すことが出来ない。
一人で勝手に焦る俺の隣で、レイはいつもの調子で平然と答えるんだ。
「そうなんです。彼、すごく優しいんです。良かったらおすすめ教えて下さい」
ニコニコの笑顔で何も否定しないレイのリアクションに、俺の胸の鼓動が高まる。顔が熱くなっている俺をよそに、レイは楽しそうに店員とアクセサリー選びを始めた。
俺は今日も、レイのなにげない言動に翻弄されている。
どうしてレイは、まるで恋人のような振る舞いをするんだ? レイは「待ってる」と言ってくれたけれど、このままだと俺自身が待てなくなる。
「あっ。あのお店、可愛い」
彼女の目線の先には、素朴でありながら小綺麗に店内を装飾しているジュエリーショップがあった。
(そういえばレイはプレゼントはケーキだけでいいと言っていたけど……)
じっとショップの方を眺めるレイを、俺は店内まで引き連れて行った。
「レイ、好きなもの選んで」
「買ってくれるの?」
「今日誕生日だから」
「でもケーキだけでいいのに」
「俺がレイにプレゼントしてあげたいんだ」
何となく小恥ずかしくなった俺は、少しだけ目線をレイから逸らす。するとその先にジュエリーショップの女性店員が立っていて、ばっちり俺と目が合った。
店員は営業スマイルを俺に向けると、こちらにゆっくりと歩んできた。
「優しい彼氏さん、ですね」
「えっ?」
なんの疑いもなしに店員が言い放った言葉に、俺は一瞬戸惑ってしまう。
「彼女さん想いで素敵ですよ」
──いえ、俺たちはそういう関係ではないんです。少しばかり色々と複雑な事情がある、ごく普通の義理の兄妹なんです。
俺は頭の中でつらつらと説明文を並べるが、変な緊張のせいで一言も声に出すことが出来ない。
一人で勝手に焦る俺の隣で、レイはいつもの調子で平然と答えるんだ。
「そうなんです。彼、すごく優しいんです。良かったらおすすめ教えて下さい」
ニコニコの笑顔で何も否定しないレイのリアクションに、俺の胸の鼓動が高まる。顔が熱くなっている俺をよそに、レイは楽しそうに店員とアクセサリー選びを始めた。
俺は今日も、レイのなにげない言動に翻弄されている。
どうしてレイは、まるで恋人のような振る舞いをするんだ? レイは「待ってる」と言ってくれたけれど、このままだと俺自身が待てなくなる。