サルビアの育てかた
「先生。もしよかったら……俺たちの土地を使いませんか」

 俺の提案に、ジャスティン先生は目を見開く。

「土地って。まさか、君たちの家があったあの場所のことかい?」
「そうです。俺たちは今後、あそこに家を建て直して生活することはないです。ずっと放置しているのもよくないと叔父にも言われました。だけど、どうすればいいのかずっと答えが出ません」

 俺の話を真剣に聞いてくれるジャスティン先生の目の奥は、少しばかり潤っているように見える。

「だけど、ジャスティン先生が困っているなら俺は協力したいと思います。俺たちの土地を、よければ使ってくれませんか」
「……そんな。いいのかい」
「ジャスティン先生だからいいんです。きっとレイだって先生の為なら快諾してくれるはずですよ」

 先生はしばらく口を閉じ、何かを想うように遠くを見つめていた。
 
 いつまでも跡地を放置したまま何もせず雑草を生え散らかしてしまうよりも、こうして信頼している人に活用してもらうのが一番のはずだ。きっと天国にいる父と母も許してくれるだろう。
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