サルビアの育てかた
 俺がぼんやりとそんなことを考えていると、フレアは小さく溜め息を吐いた。

「もう、迷うことないんじゃない? あなたも自分の気持ちに気づいたんだし、レイだって明らかにあなたに特別な想いがあるみたいだしね」

 そう言ってから、フレアはフレンチフライを美味しそうに食べ始める。

 ──俺たちが義理の兄妹という関係ではなければ、もっと単純な話だったはずなのに。

 食事が冷めていく。小さな一口でバーガーを頬張り、俺はゆっくりと首を横に振った。

「俺は義理でもレイの兄だ。それはこの先も変わらない。だから、どうすればいいのか分からないんだ」
「どうすればいいか分からないって? レイのそばにいて、大事にしてあげればいいでしょう」
「それはそうなんだけど。兄妹なのに恋人のようなことをしていたら、変じゃないかな」
「血が繋がっていないんだから、変じゃないわよ」

 口周りをさっと拭くと、フレアは片手を頬に乗せて眼力を強調しながら続けるんだ。

「ヒルスって、あの子のことになると臆病になるわよね」
「……え?」
「普段のあなたはどちらかと言うとポジティブで、あまり物事を深く考えないでしょう? ダンスをしている時なんてとくにそうよ。考えるより、身体を動かして勢いで踊ってるじゃないの」
「当然だろ。ダンスは何か考えてするもんじゃない」

 俺がそう言うと、フレアはくすりと笑った。

「だったら、レイとの恋も勢いでどうにかしなさいよ」
「いや、それとこれとは話は別だ。俺とレイの関係は簡単なものじゃない」
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