サルビアの育てかた
◆
レイと出会ってから十四年の月日が経つ。
当時三歳だった孤児の女の子が、グリマルディ家の一員としてやってきた時、俺はただただ戸惑うばかりだった。最初はどうでもいい存在だったのに、彼女がダンスを始めたことをきっかけに俺たちの関係は深いものになっていった。
レイのダンスは見ている人の心を魅了する魔法のような力がある。もちろん俺も惹き付けられたうちの一人。どんなに落ち込んでいたって、レイが楽しそうに美しく舞う姿を見るだけで俺の心は嘘みたいに晴れるんだ。
それに、彼女の良いところはダンスだけじゃない。
レイがいるだけで、その場が明るくなる。家族四人で過ごした忘れられない日々は、レイがいたからこそ楽しい思い出として残っている。
彼女が来る前、父と母はいつも暗い顔をしていた。実の娘を失ったことで悲しみに暮れていたんだろうと今ならわかるが、当時の俺は事情なんて何も知らなかった。だけど幼いながらに、両親のことをとても心配していた記憶がある。
両親が笑顔を取し戻せたのは、間違いなくレイのおかげだ。
幼い頃の俺は、そんな彼女に少なからず嫉妬していたけれど──グリマルディ家を闇から救い出してくれたのは、レイという光のような存在のお陰だ。
時が経つにつれ、彼女の存在が俺の中でどんどん大きくなり、どうにも止まらなくなっていく。レイはいつだって俺の心の支えになってくれる。そばにいるだけで安らぎや癒しをもらえる。レイのなにげない言動にいつもドキドキさせられている。
そんなレイが隣にいると、俺はこの上ない幸福を感じられるんだ。
だから──どうか愛する彼女に尊い幸せを。