サルビアの育てかた
「──あれ、お兄さん?」

 俺が意気消沈していると、煩わしい甲高い声が聞こえてきた。声の方を振り返ると。

「やっぱり。さっきのイケメン君だ!」
「……またあんたかよ」

 先程のストリートガールが、まだ客を探し回ってウロウロしているようだ。

 面倒臭いな。

 俺はそそくさとその場を立ち去ろうとしたが、女は不適な笑みを浮かべて俺の前に立ちはだかる。

「なになに? 泣きそうな顔してる! ひょっとして、レイちゃんと仲直り出来なかったの?」
「関係ないだろ」
「ふぅん。それでレイちゃん、どっか行っちゃったんだ? だからそんな悲しそうな顔してるんだね」
「……それは」

 図星で何も言えない。変な汗が滲み出てくる。
 この分かりやすい性格とやらを本当にどうにかしたかった。全くの赤の他人にすら、心の内を読まれてしまうなんて。
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