サルビアの育てかた
 女は俺の顔をぐっと覗き込んできた。

「レイちゃんってどんな子なの?」
「どうしてあんたに教えないといけないんだ」
「ちょっと気になることがあって」
「気になること?」

 突然女は声を暗くして、妙なほど真面目な態度で話し始めた。

「……さっきね、路地裏で若い女の子が変な男たちに絡まれているのを見かけちゃったからさ。ナンパだと思うけど、その女の子すごく嫌そうにしてたのよね。それがレイちゃんとは限らないけど」

 神妙な面持ちで話す女を見て、俺は固唾を飲む。

「ほら。ここから数分の場所にある、あそこの路地裏」

 女はそう言いながら、繁華街の西側の方を指差した。

「あそこって、夜になるとちょっと悪い人たちが活動し始める場所でしょ? あたしだってあそこに行くの躊躇うよ。お客が捕まらない時にちょこっと行くくらいでさ。まさか、さっきの女の子……レイちゃんだったなんて言うオチはないよね」
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