サルビアの育てかた


 大会の興奮も冷めきらないうちに、次のレッスン日になる。
 俺とレイはいつものようにバイクでスクールまで一緒に向かった。

 この日、なにやらスクールのエントランスの様子が違った。俺たちが来る前から、クラスのメンバーやインストラクターたちが外で待機していたようだ。
 俺たちが──いや、レイがスクール前に到着するなり、皆がごぞって彼女のそばに駆け寄ってきた。

「レイ、この前はおめでとう!」
「最高のダンスだったよ」
「めちゃめちゃ興奮したぜ」
「やっぱりレイはクールなダンサーよね!」

 誰彼構わず一気に祝福の言葉を投げかけてくるものだから、レイは戸惑った表情をする。それでも頬をほんのり赤らめながら「ありがとう」と一人一人に返事をした。
 少し離れた場所で、俺はその様子を微笑ましく眺める。
 レイは普段からみんなに好かれていて、男女問わず人気者と言える。仲間たちに囲まれて幸せそうに笑う彼女を見ていると、なんだか自分のことのように俺まで嬉しくなった。
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