サルビアの育てかた
 周りを見回し、まだ他のスタジオ仲間もジャスティン先生も来ていないのを確認すると、俺は一つフレアに気になることを訊いてみた。

「フレア、ちょっといいか」
「何?」
「レイに、話したんだよな」
「え?」
「今更なんだが。レイに、俺たちのことを話したんだろう?」

 あくまで柔らかい口調で、俺はフレアに問いかける。

 別に怒っているわけじゃない。本当はあまりレイに知られたくない話ではあったが、なぜフレアがあのことをレイに話したのか、純粋に疑問だった。

 フレアはストレッチするのを一度止め、胡座をかきながら俺から目を逸らした。

「もしかして、わたしがヒルスに色々迷惑かけちゃったこと……?」
「いや。迷惑というか」
「ごめんなさい。レイに、話したことはあるわ」

 バツが悪そうに、フレアの声は小さかった。
 でも俺にとっては何もやましいことはないから、そこまで深く気にしない。それが原因でよく分からない喧嘩をしてしまった事実はあるにはあるが。

 髪をかきあげながら、フレアは首を小さく振った。

「わたしがまだ、あなたのことが好きだった頃の話よね? 本当にわたし、どうかしてたわ」

 俯き加減になりながらも、フレアは言葉を続けていく。 
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