サルビアの育てかた
「あなたとレイがペアでイベントに参加したあの日よ。レイと二人きりで会場内の更衣室へ移動する途中、あなたの話になったの。あの子に『ヒルスと仲がいいですね』って言われて。そこで深いことまで答えなければよかったんだけど……わたし、どうかしてた。全部話しちゃったの。あなたに告白したことも、部屋まで看病しにいったことも全部」

 レイとペアで参加した時──ああ、あの日か……。ふと思い出してしまい、俺は一人胸を痛める。
 そういえばあの日のレイは、本番前にずいぶんと固くなっていた気がする。ステージに上がった時も、ソロでステップを踏み外したトラブルもあったな。
 間一髪で彼女を抱き上げ、その後はアドリブで締めたからむしろ結果的により良いダンスが披露できたが……。

 俺が思い出している中、フレアは更に続けた。

「わたしの話を聞いたらね、レイが凄く悲しそうな顔をしたのよ。すぐに後悔したわ。あの子を傷つけたいわけじゃなかったのに」

 フレアは申し訳無さそうに眉を下げた。

「ごめんなさい。もう二度と余計な話はしない」
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