サルビアの育てかた
 ──今日は、俺たちの土地に新しく完成したダンススクールをジャスティン先生と見学しに行く日なんだ。

「どんなスクールが出来たんだろうね。楽しみだなあ」
「俺たちが住んでいた場所がダンススクールになるなんてな。まだ実感が湧かない」
「うん。ジャスティン先生の役にも立てたし、何より私たちのおかげで未来のダンサーが増えるんだよ。凄く嬉しいな」

 そう言うレイの笑顔は、いつも以上に明るい。見ている俺まで嬉しくなる。

 準備をして、俺とレイは車で新スクールまで向かう。運転中に手を繋ぐのもすっかり日常のものになっていて、俺の手はレイのぬくもりにいつも癒やされていた。
 きっと今日は楽しい一日になる。

 大火事が発生してからもう一年以上経つが、あの日の悲しみや衝撃がなくなることはない。だけど、あの地にダンススクールが建つことは俺とレイにとって、前を進んで生きていく大きな転機でもある。
 ノリノリの音楽を流して、俺とレイは時折歌をうたい、気分を高揚させて先生との待ち合わせ場所へと向かっていった。
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