サルビアの育てかた
「ま、まあ。みんな早速中へ入ろうよ」
俺の機嫌を伺ってか、ジャスティン先生は少し苦笑しながら扉を開けるんだ。メイリーは小さくスキップしながら先生の後をついていく。
今日、ここに来るのを楽しみにしていたのに。一瞬にして全てが台無しになってしまった。
たまらず俺は大きく息を吐く。
ジャスティン先生と話しながら楽しそうに建物の中へ入っていくメイリーの後ろ姿を、睨みつけた。すると、背後からレイが突然俺の裾を掴んでくるんだ。
俺はすぐに優しい顔に戻し、レイの方を振り向いた。案の定、彼女は不安そうな顔をしている。
「……ヒルス、怒ってるよね」
「いや、そんなことはない」
明るく振る舞おうとしたが、感情が隠しきれていないせいで声が震えてしまう。
「あのこと……メイリーさんに話そうとしてるの?」
「当たり前だ。許せないからな」
「でも、もうずいぶん前の話だし。私は気にしてないよ」
やっぱり。レイは他人に優しすぎるんだ。普通の感覚ならいつまでも許せるわけがない。
あの女に会うことがなければ俺だって何かしようとは思わなかった。だけど、ヘラヘラしながら馴れ馴れしく絡んでくるメイリーを前にすると、俺の中の苛々が爆発しそうになってしまう。
でも──レイのこんな困ったような顔を見てしまうと、俺は怒りに任せて行動してはならないと冷静にならざるを得なくなる。
レイの柔らかい髪をそっと撫でた。
「別に喧嘩をするわけじゃない。ただ、メイリーに二度とあんなことはしないように、話をするだけだよ」
「本当……?」
「ああ。本当だ」
ニコリと微笑みかけるが、それとは別に、あの女には今後一切レイに近づくなと警告もするつもりだった。
扉の方に目を向け、ジャスティン先生たちが中にいるのをもう一度確認してから、俺は再びレイの方を振り向く。そして彼女をそっと抱き締めた。
「レイは何も心配しないで。俺がちゃんとついてる」
「……ヒルス」
暫しの間、その場に静寂の時間が訪れた。
今の俺の胸の奥には、とてつもない怒りや苛つき、憎悪などの感情が暴れ回っている。だけど、そんな中でもレイのぬくもりを感じるだけで落ち着きを取り戻せるんだ。
俺の機嫌を伺ってか、ジャスティン先生は少し苦笑しながら扉を開けるんだ。メイリーは小さくスキップしながら先生の後をついていく。
今日、ここに来るのを楽しみにしていたのに。一瞬にして全てが台無しになってしまった。
たまらず俺は大きく息を吐く。
ジャスティン先生と話しながら楽しそうに建物の中へ入っていくメイリーの後ろ姿を、睨みつけた。すると、背後からレイが突然俺の裾を掴んでくるんだ。
俺はすぐに優しい顔に戻し、レイの方を振り向いた。案の定、彼女は不安そうな顔をしている。
「……ヒルス、怒ってるよね」
「いや、そんなことはない」
明るく振る舞おうとしたが、感情が隠しきれていないせいで声が震えてしまう。
「あのこと……メイリーさんに話そうとしてるの?」
「当たり前だ。許せないからな」
「でも、もうずいぶん前の話だし。私は気にしてないよ」
やっぱり。レイは他人に優しすぎるんだ。普通の感覚ならいつまでも許せるわけがない。
あの女に会うことがなければ俺だって何かしようとは思わなかった。だけど、ヘラヘラしながら馴れ馴れしく絡んでくるメイリーを前にすると、俺の中の苛々が爆発しそうになってしまう。
でも──レイのこんな困ったような顔を見てしまうと、俺は怒りに任せて行動してはならないと冷静にならざるを得なくなる。
レイの柔らかい髪をそっと撫でた。
「別に喧嘩をするわけじゃない。ただ、メイリーに二度とあんなことはしないように、話をするだけだよ」
「本当……?」
「ああ。本当だ」
ニコリと微笑みかけるが、それとは別に、あの女には今後一切レイに近づくなと警告もするつもりだった。
扉の方に目を向け、ジャスティン先生たちが中にいるのをもう一度確認してから、俺は再びレイの方を振り向く。そして彼女をそっと抱き締めた。
「レイは何も心配しないで。俺がちゃんとついてる」
「……ヒルス」
暫しの間、その場に静寂の時間が訪れた。
今の俺の胸の奥には、とてつもない怒りや苛つき、憎悪などの感情が暴れ回っている。だけど、そんな中でもレイのぬくもりを感じるだけで落ち着きを取り戻せるんだ。