サルビアの育てかた
「俺たちに恨みでもあるのか」
「ううん、あなたには何も恨みなんてないよ」
「それならどうしてあんなことを……あんたおかしいぞ」

 俺の手は酷く震えた。

 不適な笑いを浮かべていたメイリーは、急に無表情になる。

「あたしはただ、あの子が羨ましかっただけ」
「は?」
「レイが特待クラスに入る前は、あたしが一番先生に期待されていたのに……。レイはいつも周りから可愛がられていたでしょう。たしかに女子として可愛らしいし、ダンスも上手よ。あの子がクラスに来てからも辞めてからも、忘れられることなく先生もみんなもいつもレイの話をしていた……。あたしなんて、レイみたいな魅力はない。勝てるものが何にもないのよ」

 切ない顔でメイリーは話すが、俺の心はしらけていた。女の嫉妬は本当に下らない。
 ひとつも同情が出来ない中で、俺は呆れて大きく息を吐いた。
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