サルビアの育てかた
「悪いけど──」
「うん、返事はいらない。答えは分かってるから。ヒルスは、レイのことしか見えてないでしょう?」
「……」
「あなたの大切な人をあたしは平気で傷つけた。そんな奴のことなんて、許せるわけないよね」

 分かっているなら、最初から俺たちの問題に首をつっこまないでくれ……。
 俺は呆れて額に手を当てた。

「あんたは俺のことを好きなわけじゃない」
「えっ?」
「ただレイに嫉妬して、自分にないものを欲しがっているだけだ。もう少し冷静になれよ」

 メイリーは頷くこともしなければ何かを言うわけでもなく、ただぼんやりと遠くを見つめた。

「これからは二度とレイに近づかないでくれるか。あんただって、レイが視界に入るとろくなことはないみたいだからな」
「……」

 メイリーは目線を下に落とし、何か納得できない様子でいる。
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