サルビアの育てかた
 不安そうな顔をするレイの体をそっと抱き寄せ、俺は静かに口を開いた。

「レイは、迷っているんだな」
「……うん。もし何かあったら、嫌な思いもするかもしれないから」
「そうだな……」

 俺は今すぐにここで答えを求めようとは思わない。これは彼女自身が決めるべきことだから。
 本当はレイにチャンスを逃してほしくない。だけど不安を抱えたまま話を進めても、きっと後悔してしまう。

 俺は何も言わずに、長い時間を使ってレイをしっかり抱き締めた。

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