サルビアの育てかた


 後日。俺とレイは休日にスタジオに訪れた。

 事務室を訪れると、そこにはジャスティン先生と──もう一人、独特な空気を醸す人物が待ち構えていた。
 その男、身長がとにかくデカい。俺の頭二つ分くらいは大きいだろうか。ピチピチのワイシャツからは若干胸毛が盛れていて、腕の筋肉やチラッと服の間から顔を覗かせているバキバキの腹筋が目のやり場に困らせる程だ。

 この人は……。
 見覚えがある。

「レイ、ヒルス。紹介するよ。この方はかの有名な世界的アーティスト、モラレスさんだ!」

 ジャスティン先生が放った一言に、俺は言葉を失う。

 まさか。本物なのか?

 モラレスはこの上ないほどの大きな笑みを浮かべて、レイを見るなり小走りで彼女の方に駆け寄ってきた。大胆にも飛びつくように大きな身体でレイに抱きつく。

「ああ、この子がレイちゃんね! 会いたかったわ。動画で見るよりも何百倍も可愛いお嬢さんね!」

 モラレスは見た目に似合わず、声は少し高めで喋りかたが女性らしい。いや、仕草もなんとなくそれっぽい。
 俺は瞬時に判断した。この人は、そういうタイプの人なんだ、と。
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