サルビアの育てかた
 真っ直ぐに俺の瞳を見るロイの顔は至って真剣だ。

「……と言っても、ボクがレイさんに対する『好き』の感情は、恋とは違う全く別の意味もあるかもしれません」
「えっ?」
「レイさんはボクと同じ孤児院出身です。同じような境遇で、なんとなく親近感があるような気がして。レイさん自身は、孤児院にいた頃の記憶はないのに……」

 ロイは少し眉を八の字にしながら「笑っちゃいますよね」と口角を緩める。
 俺はそんなロイに対して首を横に振り、「そんなことはない」ときっぱり否定した。

「レイ自身は覚えていなくても、事実を知っている。それに心の奥底では大きく傷ついているからな……」

 ロイにも聞こえないほどの声量で、俺はポツリと呟いた。
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