サルビアの育てかた
◆
レイが個人大会で入賞してから一年が経った。
トラブルもなく、俺たちは変わらずダンスに打ち込む日々を送っている。
「なあ、ヒルス」
「なんだ」
いつものようにレッスンを終え更衣室で着替えをしていると、ライクが話しかけてきた。いつもは調子に乗ったようにヘラヘラしていることが多いが、今日は珍しく真面目な態度だ。
「ジャスティン先生からの話、お前は受けるか?」
「ああ、あのことか。もちろんだ。ライクもだろ?」
「当たり前だ。おれはこれからもダンスに情熱を注いで生きていくぜ!」
「もう十年も踊ってきたからな」
「でもよ、ヒルス。お前、これからどうするんだ?」
「どうするって?」
「先生の『ダンススタジオ』はお前の家からずいぶん遠いだろ?」
「その件については色々と考えてる」
「今年で十八になるんだよな。自立する歳だしちょうどよかったじゃねぇか」
「……まあな」
「あっ? その寂しそうな顔! まさか」
「な、何だよ」
「分かるぜ、お前の気持ち。あんな妹がいたら、離れたくないよなぁ!」
「はあ? あいつは関係ないだろ」
「とか言って、本当は寂しいんだろうが! 可愛い子と同じ屋根の下で生活していたら、おれなら一生家を出たくなくなるぜ」
「気持ち悪いな、本当にやめろ」
「ははは。冗談だよ。まあ、お前と離れるのはおれだって寂しいんだぜ。おれのイケてるスポーツカーに乗って、たまには会いに行ってやるからな!」
「来るな。お前とは二度と会わなくてもいい」
「冷たいこと言うなよ」
「……もうこんな時間だ。今日は帰る」
「おうよ。じゃあな、ヒルス。今夜もゆっくり休めよ!」
やっぱりライクはすぐにちゃらける奴だ。
さっさと荷物をまとめ、俺はすぐさまスタジオを後にした。
レイが個人大会で入賞してから一年が経った。
トラブルもなく、俺たちは変わらずダンスに打ち込む日々を送っている。
「なあ、ヒルス」
「なんだ」
いつものようにレッスンを終え更衣室で着替えをしていると、ライクが話しかけてきた。いつもは調子に乗ったようにヘラヘラしていることが多いが、今日は珍しく真面目な態度だ。
「ジャスティン先生からの話、お前は受けるか?」
「ああ、あのことか。もちろんだ。ライクもだろ?」
「当たり前だ。おれはこれからもダンスに情熱を注いで生きていくぜ!」
「もう十年も踊ってきたからな」
「でもよ、ヒルス。お前、これからどうするんだ?」
「どうするって?」
「先生の『ダンススタジオ』はお前の家からずいぶん遠いだろ?」
「その件については色々と考えてる」
「今年で十八になるんだよな。自立する歳だしちょうどよかったじゃねぇか」
「……まあな」
「あっ? その寂しそうな顔! まさか」
「な、何だよ」
「分かるぜ、お前の気持ち。あんな妹がいたら、離れたくないよなぁ!」
「はあ? あいつは関係ないだろ」
「とか言って、本当は寂しいんだろうが! 可愛い子と同じ屋根の下で生活していたら、おれなら一生家を出たくなくなるぜ」
「気持ち悪いな、本当にやめろ」
「ははは。冗談だよ。まあ、お前と離れるのはおれだって寂しいんだぜ。おれのイケてるスポーツカーに乗って、たまには会いに行ってやるからな!」
「来るな。お前とは二度と会わなくてもいい」
「冷たいこと言うなよ」
「……もうこんな時間だ。今日は帰る」
「おうよ。じゃあな、ヒルス。今夜もゆっくり休めよ!」
やっぱりライクはすぐにちゃらける奴だ。
さっさと荷物をまとめ、俺はすぐさまスタジオを後にした。