サルビアの育てかた
なぜ母が育てた『サルビア』が季節に関係なく力いっぱい咲き続けていたのか、その理由を俺たちは知らない。何かの好条件がたまたま揃っていたのかもしれないし、はたまた母の言うとおり、愛情をたくさん注いだことによって魔法がかかっていたのかもしれない。
俺の胸の中で小さく震えるレイを抱き寄せ、優しく囁いた。
「落ち込まないで、レイ。もし『サルビア』がなくなっても、俺たちが家族四人で過ごした思い出はずっと心の中に残ってる」
「……うん」
俺の言葉に、レイは顔を上げる。今にも泣きそうなのを必死に堪えているようだ。
もう一度、秋風が俺とレイの間をすり抜ける。
「俺はたくさんの思い出を胸の中にしまっているよ。家族で過ごした何気ない日常も。誕生日やクリスマスも。ダンス大会に父さんと母さんが応援してくれたこともあったしな。それに、旅行もあちこちに行っただろ? 形あるものが失われても、俺たちには大切な思い出があるんだ」
レイは何も言わずにじっと俺を見つめていた。
──本音は俺も、この『サルビア』たちが枯れてほしくないと願っている。新しい種が生まれた時、そこから再び美しい花を咲かせ、いつまでも繰り返し育っていってほしい。
だけどこの先、本当に全てが枯れ果ててしまったとしたら……。悲しみに暮れるよりも、なくならない家族の思い出を大切にしていきたい。
俺の胸の中で小さく震えるレイを抱き寄せ、優しく囁いた。
「落ち込まないで、レイ。もし『サルビア』がなくなっても、俺たちが家族四人で過ごした思い出はずっと心の中に残ってる」
「……うん」
俺の言葉に、レイは顔を上げる。今にも泣きそうなのを必死に堪えているようだ。
もう一度、秋風が俺とレイの間をすり抜ける。
「俺はたくさんの思い出を胸の中にしまっているよ。家族で過ごした何気ない日常も。誕生日やクリスマスも。ダンス大会に父さんと母さんが応援してくれたこともあったしな。それに、旅行もあちこちに行っただろ? 形あるものが失われても、俺たちには大切な思い出があるんだ」
レイは何も言わずにじっと俺を見つめていた。
──本音は俺も、この『サルビア』たちが枯れてほしくないと願っている。新しい種が生まれた時、そこから再び美しい花を咲かせ、いつまでも繰り返し育っていってほしい。
だけどこの先、本当に全てが枯れ果ててしまったとしたら……。悲しみに暮れるよりも、なくならない家族の思い出を大切にしていきたい。