サルビアの育てかた
 ──あれから十七年もの月日が経ったんだね。
 私を何年も待ち続けていたその人は、祭壇に祈りを捧げた後、ゆっくりとこちらに顔を向けた。
 対面した瞬間、彼女は目を細めて口に手を当てて大粒の雫を流した。でも、あの時とは全然違う意味のものだった。

 懐かしい雰囲気。心地の良い香り。優しさに溢れる表情。私の記憶の奥底で眠っていた感覚が、じわじわと蘇る。

 その人は一歩二歩ゆっくりとこちらに近づいて来た。手を差し伸べると、私の頬に触れた。
 柔らかい手に触れられると、私の全身が何とも言えない不思議な感覚が流れた。

「レイちゃん。よく来てくれました。……会いたかったわ」

 胸の鼓動が高まる。こんなにも安心する声が他にあるだろうか。

「……私も、会いたかったです」

 自分でも驚くほど声が震えてしまう。どうしてかは分からなけれど、とても緊張していた。

 隣で静かに見守ってくれている彼は、そっと私の背中を擦ってくれる。そのお陰で、心を落ち着かせることが出来た。

「こんなにも綺麗になって、立派な女性に成長したのね。本当に驚いたわ」

 彼女は私にそんなことを言ってくれた。
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