サルビアの育てかた
──数日後。
日頃から殆ど物がないヒルスの部屋は、更にすっからかんの状態になっていた。空き部屋と化した室内を眺め、私は寂しさに押しつぶされそうになる。
「ヒルス……今日から本当にいなくなっちゃうんだね」
「なんだ、俺と離れるのがそんなに寂しいのかよ?」
ヒルスはわざと冗談っぽく言うけど、私は全然笑えなかった。
「当たり前だよ……」
ああ、ダメ。思わず泣きそうになってしまう。
彼がこれから働くダンススタジオは、家から車でも一時間以上かかる距離にあるんだって。インストラクターとして生徒にダンスを教えるだけじゃなく、プロのイベントや大会にも出る機会が増えるみたい。通勤が長いと自分の練習時間が確保できなくなるから、ジャスティン先生が所有しているフラット(アパート)の一室を借りて、一人暮らしを始めることにしたらしい。スタジオの他のインストラクターや先生の弟子たちがシェアしながら暮らしている、寮みたいなところだって聞いた。
昨日まではいつもと変わらない日常だったのに、当日になって実感が湧いてきてしまった。
日頃から殆ど物がないヒルスの部屋は、更にすっからかんの状態になっていた。空き部屋と化した室内を眺め、私は寂しさに押しつぶされそうになる。
「ヒルス……今日から本当にいなくなっちゃうんだね」
「なんだ、俺と離れるのがそんなに寂しいのかよ?」
ヒルスはわざと冗談っぽく言うけど、私は全然笑えなかった。
「当たり前だよ……」
ああ、ダメ。思わず泣きそうになってしまう。
彼がこれから働くダンススタジオは、家から車でも一時間以上かかる距離にあるんだって。インストラクターとして生徒にダンスを教えるだけじゃなく、プロのイベントや大会にも出る機会が増えるみたい。通勤が長いと自分の練習時間が確保できなくなるから、ジャスティン先生が所有しているフラット(アパート)の一室を借りて、一人暮らしを始めることにしたらしい。スタジオの他のインストラクターや先生の弟子たちがシェアしながら暮らしている、寮みたいなところだって聞いた。
昨日まではいつもと変わらない日常だったのに、当日になって実感が湧いてきてしまった。