サルビアの育てかた


 夜が更ける前、ソファに並ぶ俺とレイは、肩を寄せ合いながらいつものように就寝前のひとときを過ごしていた。ただ何をするわけでもなく、二人きりで静かな時間を共有するだけで体の疲れが一気に癒やされる。
 一日の中でも一番、尊くて大切な時間。

「ヒルス」
「うん?」
「今日は、ありがとう」

 俺の肩に頭をそっと乗せるレイの声は、これ以上ないほど透き通っている。
 彼女の肩に腕を回し、俺はレイの髪を優しく撫でた。

「俺の方こそ、ありがとう」
「えっ。どうしてヒルスがお礼なんて言うの?」
「レイが『幸せ』って言ってくれただろ? あの言葉を聞くと、俺も嬉しくなるんだ」

 レイはこちらを見てふっと笑ってくれる。
 いつも以上にレイの顔は明るくて、安堵しているようにも見えた。
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