サルビアの育てかた
 ──彼女と出会って、十五年の月日が流れた。あんなに小さくて幼かった一人の女の子は、いつの間にかこんなにも綺麗な大人の女性に成長していたんだ。

 おもむろに自分の胸の上で輝くネックレスを外した。いつも同じ輝きを放つ彼女の物にもそっと手を伸ばし、テーブルの上に置く。 
 大切なこの時だけは、俺とレイの間には何も必要がない。

「レイ、いいかな」
「……うん」

 小さく頷くレイの声は、今までに聞いたことがないほど艶やかだ。その声を聞いただけで、俺の鼓動が高鳴る。
 ──いつだって俺は、レイの全てに触れたいと思っていた。

「怖くなったらちゃんと言って」
「……ヒルスとなら、怖くないよ」

 いつもの可愛らしい表情なんかじゃない。彼女は女性の顔に変わっていた。初めて見るレイの表情。
 俺はこれ以上、高揚した気持ちを抑えることなんて出来ない。
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