サルビアの育てかた
 いつもとは違う朝の目覚め。ホテルの部屋の中はまだまだ薄暗く、夜明け前なのが分かる。
 身体がフワフワと火照っているような、不思議な感覚だ。ふと隣を見てみると、俺の腕の中で気持ち良さそうに眠る彼女がいた。

(レイの寝顔も可愛いな……)

 たまらず彼女を抱き締め、その唇に優しくキスをする。この柔らかくてあたたかい感触に、俺はいつも夢中になっていた。他の誰でもない、レイのぬくもりだけが俺の全てを満たしてくれる。

 室内には、俺が彼女に捧げる愛の音色が静かに鳴り響いた。気分が高まってしまい、レイのぬくもりから離れられずにいる。

「んっ……ヒルス……?」

 レイの瞳がゆっくり開かれていくことに気づいたが、構わず想いを重ね続けた。
 
 彼女と初めて肌を重ねた昨晩、俺は今までに経験したことのない絶頂を知った。
 レイがあんなにも高く可愛らしい声を出すなんて知らなかった。見たことのない美しい表情も、彼女の奥深くに秘める場所があれほどまでに熱くて心地が良いものだなんていうことも。
 俺はあの時、レイの全てを知れた気がする。

 心も体も彼女の虜になっていた俺は、朝陽が昇る前のひとときをもう一度レイと共に熱く過ごした。 
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