サルビアの育てかた
 私が戸惑っていると、メイリーは更にこんなことを口にする。

「あなたの実力でよく真ん中で踊ろうと思えるわよね、下手くそなのに」

 この言葉は、私の心を酷く傷つけた。

 ……たしかに私は下の方の立場だし、他のメンバーに比べたらまだまだ練習すべきことがたくさんある。ましてや彼女からすれば、私は未熟に見えても仕方がない。だけど、そんな風に言われるなんて……悲しいよ。
 何も答えられなかった。

 メイリーはヒールの音を大きく響かせながら町の中へと消えて行った。
 さっきまで癒しに感じた灯りが、灰色にしか映らなくなる。
 でも、気にしないようにした。ちゃんと練習して、今度のイベントも必ず成功させないと。いつかメイリーにも「ダンス上手になったね」って言ってもらえるようになれたらそれでいい。
 そのためにできるのは、無理やりにでも前向きに考えて、たくさん練習をすることだけ……。
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