サルビアの育てかた
 俺が狼狽えていると、ずっと黙り込んでいたレイが急に前に出て拳をギュッと握って叫んだ。

「もう……やめて! あなたは、私の母親なんかじゃないから!」

 強い口調で、レイははっきりとそう言い放つ。

「はあ? あんた……自分が何言ってるか分かってるの?」
「血の繋がりがなくても、家族になれるんだよ。あたたかいお家でみんなで一緒にご飯を食べて、喜びも悲しみも、どんなことも分かち合う。日常のふとした時さえも、家族の楽しい思い出として残っていくの。私のお父さんとお母さんは、優しさと愛情をたくさんくれた。ヒルスだって……私のことを人生の中で一番支え続けてきてくれた大切な人なんだよ!」

 レイはひとつひとつの言葉を丁寧に、そして語尾を強くしながら悪魔に投げ続ける。まるで恐怖になんて負けまいと、強さを見せつけるかのように。
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