サルビアの育てかた



『ねぇ。ヒルス』
『レイ、どうした?』
『私ね……、お父さんとお母さんに急に会いたくなる時があるの。この寂しさ、どうしたら解消できるのかなあって時々考えちゃうんだ』
『ああ、そうだな……。俺も悩む時があるよ』
『ごめんね、変なこと言って』
『謝らなくていいよ。俺もレイと同じ気持ちだ』
『お父さんとお母さんがもしも生きていたら、今頃どうなっていただろうね?』
『きっと、レイのことを全力で守ってくれていたと思うよ』
『そうだよね。私もそう思う』
『声が暗いな。平気か? 悲しいんだな……?』
『たまにお父さんとお母さんを思い出すとちょっとだけ気持ちが沈んじゃう。でもね、ヒルス。ひとつだけいいこと教えてあげる』
『いいことって?』
『寂しくなったら、空を見上げるんだよ』
『空を?』
『うん。朝でも昼でも夜でもいい。晴れていても雨が降っていても、曇っていてもいいの。寂しくなったら上を向いて、心の中でお父さんとお母さんに向かって声を掛けるんだよ。いつも見守ってくれてありがとうって。そうするとね、何となく穏やかな気持ちになれるの』
『そうなのか。俺もやってみようかな』
『やってみて。天国はどこにあるのか分からないけど、空を見れば私たちの声が届くような気がするから』
『ああ、そうだな。きっと届いてくれるさ……』
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