サルビアの育てかた
◆
レイは強い。あの日の件があっても、夜中に魘されることは少なくなっていった。
時折、ふとした瞬間とてつもなく暗い顔をしているのを見かけるが、そんな時は俺が手を握ってあげるとレイはすぐに穏やかな表情に戻る。
俺の目をしっかりと見つめる。「幻影なんかに負けない」と言いながら。
──そんな日々を過ごす中、俺は自分の中でひとつだけ気になることがあった。悪魔が現れたあの日から、俺は毎晩のように夢を見るようになったんだ。
別に怖いものでもなんでもない。むしろ心地の良い、楽しくて幸せな夢……。
「──おかえりなさい、ヒルス」
実家に帰ると、母がいつものように四人分の夕食を用意して出迎えてくれた。当然のように俺は「ただいま」と返事をしながら、手を洗って食卓に腰掛ける。
「父さん、また飲んでるのか」
「いいだろう、仕事後の楽しみなんだから」
顔を真っ赤にする父は、ギネスビールを片手に上機嫌そうだ。
「あんまり強くないんだから、飲みすぎるなよ」
「何だ、ヒルス。お前も飲みたいのか」
「そんなこと一言も言ってないけど」
父は生前、よく俺に晩酌を誘ってきた。俺も父も酒に弱いから、飲んだとしても一杯で終わってしまうのはいつものこと。
レイは強い。あの日の件があっても、夜中に魘されることは少なくなっていった。
時折、ふとした瞬間とてつもなく暗い顔をしているのを見かけるが、そんな時は俺が手を握ってあげるとレイはすぐに穏やかな表情に戻る。
俺の目をしっかりと見つめる。「幻影なんかに負けない」と言いながら。
──そんな日々を過ごす中、俺は自分の中でひとつだけ気になることがあった。悪魔が現れたあの日から、俺は毎晩のように夢を見るようになったんだ。
別に怖いものでもなんでもない。むしろ心地の良い、楽しくて幸せな夢……。
「──おかえりなさい、ヒルス」
実家に帰ると、母がいつものように四人分の夕食を用意して出迎えてくれた。当然のように俺は「ただいま」と返事をしながら、手を洗って食卓に腰掛ける。
「父さん、また飲んでるのか」
「いいだろう、仕事後の楽しみなんだから」
顔を真っ赤にする父は、ギネスビールを片手に上機嫌そうだ。
「あんまり強くないんだから、飲みすぎるなよ」
「何だ、ヒルス。お前も飲みたいのか」
「そんなこと一言も言ってないけど」
父は生前、よく俺に晩酌を誘ってきた。俺も父も酒に弱いから、飲んだとしても一杯で終わってしまうのはいつものこと。