サルビアの育てかた


 ダンススクールに到着した頃、辺りはすっかり陽が沈んでいた。今日は道が混んでいて予定よりも遅くなってしまった。

 俺たちがスクールに通っていた時代と比べると、明らかに生徒の数が倍以上に増えていた。たくさんの生徒がレッスンを受ける様を眺めると俺の胸が踊る。

 特待クラスを覗いてみると、そこには熱く指導をするジャスティン先生の姿があった。昼までスタジオで仕事をしてから週の半分はここに通っているというのに、疲れた顔を一切見せない。未だに現役で頑張っていて凄い人だよな、と俺は改めて思う。

「私たちが知ってる人、もう誰もいなくなっちゃったね」
「……そうだな」

 生徒の顔ぶれは、すっかり変わり果てている。辞めていった仲間が大半だ。寂しい気もしたが、もしかすると今レッスンを受けている生徒の中に、俺たちのように将来も踊り続けるダンサーがいるのかもしれない。
 真面目にジャスティン先生のレッスンを受け、ステップを踏む生徒一人ひとりを眺めながら俺は笑みを溢した。
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