サルビアの育てかた
父からの愛が溢れた手紙を受け取ったレイは、しばらく何も言えずに手を震わせていた。拭っても拭っても、レイの頬には幸せの雫が流れて止まらない。
父と母は『サルビア』の花を通じて大切なことをたくさん教えてくれた。大切な思い出も、熱い愛情も、幸せがどんなものなのかということも。
レイ、もう不安にならなくていいんだよ。母の残してくれた花は枯れてしまったが、今は父からの贈りものがある。
母が生前話していたことを、俺たちは今でも覚えている。どうして母の『サルビア』の花が一年中咲き続けたのか、その理由を。
今度こそ、枯れることはない。レイは『サルビア』の育てかたをちゃんと知っているから。
二人に残された家族の愛の形。それは、これからもきっと俺たちを支え続けてくれるだろう。
「レイ、よかったね。お父さんからのプレゼントが届いて」
「はい……ありがとうございます、先生」
父からの手紙を大切に手の中にしまい、レイはニコリと微笑む。
ジャスティン先生はそんな彼女に優しい眼差しを向けた。
「僕もビックリしちゃったよ。突然、お父さんの名前で荷物が届くんだから。過去から未来に向けて贈りものを届けてくれるなんてね。レイを心から大切に想ってくれていた、素敵なお父さんだよね!」
何となく、ジャスティン先生の瞳の奥が滲んでいるように見えた。
「それにしてもよかったよねぇ。もしも君たちの土地を他の誰かに譲ったり、あのまま放置して更地にしていたら、もしかするとこの贈りものは届かなかったかもしれない。僕がここにスクールを建設したから受け取れたようなものだよね!」
椅子に腰掛けながら、ジャスティン先生は大声で笑うんだ。
先生の言う通り。
父はこのプレゼントを贈った時、まさか我が家がなくなってしまうだなんて想像もしていなかっただろう。このプレゼントをレイが受け取った時、自分自身が既に天に召されているなんて考えもしなかったはずだ。
父の想いが、レイに届いて本当によかった。幸せそうな表情を浮かべる彼女を見ると、俺の心はあたたかくなる。
きっとこれは運命であり、必然だったに違いない。一ヶ月も早かったけれど、父からのプレゼントはレイにとって最高の贈りものになった。