サルビアの育てかた
 俺は、再び夢を見る。亡き家族と過ごしている、楽しいあの夢を。

 今日は家族で外食に来ているようだった。
 どこの店だろう。曖昧な背景でよく分からない。焼き魚とか、煮物料理だとか、普段はあまり食べないものが並んでいる。味はよく知らないけれど、何となく美味しいものなんだと認識できた。

『お兄ちゃんってさ、彼女といつ結婚するの?』

 食事中、隣に座る俺の妹がそんなことを訊いてくる。相変わらず姿がぼやけていて、容姿が分からない。
 目の前に座る父と母も、ニコニコしながら口を開いた。

「そうね、長くお付き合いしているんだから、待たせてしまうのも良くないわ」
「ヒルス、ちゃんと考えているんだろうな?」

 父と母は、夢の中でさえもレイを気にかけているみたいだ。
 そうだよな。二人とも生きていた頃、あんなにレイを溺愛していたんだ。心配させてはいけないよな。

「彼女の誕生日にプロポーズするから安心して」

 その言葉に、父と母は嬉しそうに微笑んだ。

 もしも、なんてことを考えたって虚しくなるのは分かってる。でもたまになら、想像するだけならいいかな。
 父と母がもし今も生きていたら──俺がレイとの将来を本気で考えていると話をしたら。二人は応援してくれるだろうか。
 いや、きっと喜んでくれると思う。
 父も母も、いつだってレイの幸せを一番に考えていた。
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