サルビアの育てかた
二人が生前言っていたことを思い出す。
あれはたしか……俺が二十二歳位のときか。自分自身がレイに恋心を抱く前──いや、自覚する以前の話だ。
ある日、母と二人きりでレイのことを話していたんだ。
『ヒルス、正直に話してくれる?』
『何を?』
『あなたはこれまで一度もレイを妹だと思ったことがないのよね』
『……ああ。でも、家族だとは思ってるよ』
精一杯の言葉だった。妹と思えないどころか、それ以上の存在だと想い始めているかもしれないなんて絶対に言えなかった。
しかしそんな俺の心配をよそに、母は思いもよらないことを口にしたんだ。
『勘違いだったらごめんなさい。ヒルスはあの子に、恋をしているわよね?』
『……えっ?』
俺は驚き、焦り、言葉を失くす。それと同時に、物凄く恥ずかしい想いに襲われた。
『こんなこと今訊くことじゃないわよね。でもね、最近のあなたたちを見てると、そう思わずにはいられないのよ。母の勘ってやつかしら。レイと話していると、時折愛しさでいっぱいの表情をあなたがしているから』
『母さん、やめてくれよ。俺は……』
次の言葉がなかなか出てこない。頭で考えると、なぜか否定する理由が出てこなかった。
母とこんな話をしたことがないし、何となく心やましいような変な感じがしてしまう。
レイはその時はまだ十五歳で、俺は自分の本心に蓋をしていた。
『恋なんてしてない。たしかに俺にとってレイは誰よりも大切な存在だし、幸せになってほしいと思う。それに何かあったら支えてやりたい。それほど俺にとって特別だから……』
正直な気持ちを話しているはずが、自分の中で違和感を覚える。
この台詞は義理の妹に対してではなく、家族としての想いがあるには違いない。だが、それ以外の意味もある気がしてならない。
あれはたしか……俺が二十二歳位のときか。自分自身がレイに恋心を抱く前──いや、自覚する以前の話だ。
ある日、母と二人きりでレイのことを話していたんだ。
『ヒルス、正直に話してくれる?』
『何を?』
『あなたはこれまで一度もレイを妹だと思ったことがないのよね』
『……ああ。でも、家族だとは思ってるよ』
精一杯の言葉だった。妹と思えないどころか、それ以上の存在だと想い始めているかもしれないなんて絶対に言えなかった。
しかしそんな俺の心配をよそに、母は思いもよらないことを口にしたんだ。
『勘違いだったらごめんなさい。ヒルスはあの子に、恋をしているわよね?』
『……えっ?』
俺は驚き、焦り、言葉を失くす。それと同時に、物凄く恥ずかしい想いに襲われた。
『こんなこと今訊くことじゃないわよね。でもね、最近のあなたたちを見てると、そう思わずにはいられないのよ。母の勘ってやつかしら。レイと話していると、時折愛しさでいっぱいの表情をあなたがしているから』
『母さん、やめてくれよ。俺は……』
次の言葉がなかなか出てこない。頭で考えると、なぜか否定する理由が出てこなかった。
母とこんな話をしたことがないし、何となく心やましいような変な感じがしてしまう。
レイはその時はまだ十五歳で、俺は自分の本心に蓋をしていた。
『恋なんてしてない。たしかに俺にとってレイは誰よりも大切な存在だし、幸せになってほしいと思う。それに何かあったら支えてやりたい。それほど俺にとって特別だから……』
正直な気持ちを話しているはずが、自分の中で違和感を覚える。
この台詞は義理の妹に対してではなく、家族としての想いがあるには違いない。だが、それ以外の意味もある気がしてならない。