サルビアの育てかた
「あれ、レイ。悲しいのー? 本当に惨めだね。信じられなくても事実だからさ。親に聞いてみればどう? あっ、違うか。あなたはニセモノの娘だったわね。他人に迷惑かけたくないなら、今すぐスクール辞めた方がいいよ。ヒルスとも仲良くしすぎないことね」

 そう吐き捨ててから、メイリーは笑いながらその場をあとにしてしまった。

 ──どうして。 

 夜の静けさに包まれた公園の隅で、溢れ続ける涙を拭き取りながら、私は独り立ち尽くす。

 ──どうして、あなたにそんな言われかたをされないといけないの……?

 疑問に埋め尽くされた私の心の中は、負の感情で溢れ返った。
 頭の中がぐちゃぐちゃになり、もはや整理がつかなくなってしまう。

 怖い。家族に直接訊く勇気なんてない。
 もしも私が、本当は赤の他人だとしたら。このことに気づいたと家族に知られたら。お父さんとお母さんは、どんな反応をするんだろう? きっと今までどおりにはいかないよね? 娘として見てくれなくなるよね……?
 私があの家の子じゃないなら、家族で一緒に笑ったりご飯を食べたり甘えたりしちゃいけないよね?
 考えれば考えるほど、深い闇が心を黒く染めていった。

 その日から何かの糸がぷつんと切れてしまい、私の心はガラガラと音を立てて一気に崩れていった。
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