サルビアの育てかた


 メイリーから聞いたあの話が事実なのか、未だ信じられない自分がいる。
 どうしていいのか分からない。気持ちがどんどん灰色に染まっていくの。

 気を紛らわすかのように、毎日友だちと遊び呆けるようになった。ダンススクールもサボるようになり、勉強もしないでただただ毎日がなんとなく過ぎていく。

「レイ、おかえり」

 いつものように私が帰宅すると、母は小さな声で話しかけてくる。
 一人勝手に気まずくなってしまい、まともに目を合わせられない。
 リビングから顔を出した父は、怪訝な表情で私に言うの。

「今日も帰りが遅かったな。どこへ行っていたんだ?」

 どこだっていいでしょう。友だちと遊んでいただけなんだから。それに……。
 思わず口をついて出そうになった言葉を飲み込み、心の中でそう答えると、二人と会話を交わさないまま自分の部屋に閉じ籠った。
 ……本当に私は血の繋がらない娘なのかな。赤の他人なのかな……。訊きたいけれど、どうしても無理だった。
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