サルビアの育てかた
 思いに耽っていると、レイが不思議そうな顔をして俺の顔を覗き込んできた。

「またニヤニヤしてる」
「……えっ?」
「ヒルス、最近楽しそうだね。何かあったの?」
「それは」

 いや、言えないよ。言ったら俺のプランが台無しだ。まだ何も考えていないけど。

 俺はわざとらしく咳払いをした。

「楽しい計画があってな」
「どんな計画?」
「秘密だよ」

 これ以上レイと目を合わせていたら、俺はきっとボロが出る。

 わざと後ろを向き、おかしなタイミングで公園の隅にある花壇に目線を向けた。この寒い時期には、白い花をよく見かける。
 繊細な形をする花弁をうつむき加減で着飾っている綺麗な花で、この公園の花壇にも静かに立ち尽くしていた。あたたかい時期だと街のあちこちで『サルビア』もよく見るが、今は全然咲いていない。

 でも父から贈られてきた『サルビア』だけは、枯れる気配なんて全くなくて。家のバルコニーに咲く『サルビア』を思い出すと、顔が勝手に綻ぶ。
 花言葉は【家族愛】。俺たちにとってぴったりの言葉だ。

 レイとの将来を考えていて浮かれている俺は、妄想が止まらなくない。
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